女性雇用と令和モデルの働き方~民泊清掃から考える~
コロナ禍を経て外国人観光客も増え、観光・宿泊業界が活気を取り戻しつつある現在。民泊清掃会社である弊社でも女性の雇用率は増加しました。しかし、新しい概念が根付いてきている令和時代、新しい価値観に対する企業の在り方、変化が問われています。
令和時代の働き方とは?
昭和の戦後、高度経済成長期には「昭和モデル」と言われる、終身雇用があり、企業に勤めていれば将来は安泰だと言われ、年功序列で年齢が上がると同時に給与も上がっていくようなモデルが多く見受けられました。女性は専業主婦の割合が最も高く、男性が深夜遅くまで働き残業が当たり前でそれが美化された時代、女性は家庭を守り育児と家事をこなす。出生率も高く、男女での役割がこのようにはっきりと分かれ、またその世間でのその概念が強く反映されていました。
しかしバブル崩壊や就職氷河期、コロナ渦を経て働く世代をとりまく環境は著しく変わり、それに伴い働く環境、ライフスタイルそのものが昭和時代から大きく変わってきています。
最低賃金は上がりましたが、税金は上がる一方で、物価高も上がりました。共働き世帯、ひとり親世帯の割合は増え、女性の就業率は上がっています。育児休暇などの制度も整い、職場復帰される方も増えました。
しかし、男性の帰宅時間は決して早いわけでなく、男性の育児休暇取得率も低く、子育ては女性が担うものという風潮は変わっていません。家事・育児と仕事の両立の為、35~44歳以上の子育て世帯で、若い年代(25~34歳)と比べて非正規雇用割合が上昇する傾向が続いています。正規雇用、非正規雇用を問わず働いている人口が増えているにも関わらず、厚生労働省の2023年「国民生活基礎調査」の結果によると、2021年の子どもの相対的貧困率は11.5%であり、ひとり親世帯に限ると44.5%と半分近くが貧困状態にあると発表されました。その背景には、養育費が支払われていないという背景があるとされており、シングルマザーの過酷な環境は浮き彫りになっています。
職業観・家庭観が 大きく変化する中、 全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも 活躍できる社会の実現のために企業の在り方が問われています。
令和モデルの浸透
男女共同参画局による、令和5年版男女共同参画白書によると、1希望が満たされ、 能力を最大限に発揮して仕事ができる環境の整、2仕事と家事・育児等の バランスが取れた生活、3女性の経済的自立、の3つのテーマから作成された「令和モデル」は次のようになっています。
〇柔軟な働き方の浸透、勤務時間にかかわらず仕事の 成果を評価され、昇進を目指すことができる環境の整備
〇指導的役割に占める女性を増やすための取組の加速
〇再就職の際、またはキャリアアップを目指す際に能力やスキルを向上できるよう、リスキリング等の機会の提供
〇長時間労働の是正
〇男性の育児休業取得の促進 職場での業務の見直し、効率的な業務配分
〇男女間賃金格差の是正
〇成長分野への円滑な労働移行、力向上支援、デジタル人材の育成等
〇女性の就労の壁となっている制度・慣行の見直し
〇養育費を支払うのは当然であるという意識の定着
以上の内容への取り組みや、意識の定着をテーマに企業でも様々な業務改革が行われています。
代表的なものの一つに、テレワークが挙げられます。総務省の「社会生活基本調査」によると、有業者で、平日にテレワーク(在宅勤務)をした人とそれ以外の人の生活時間の差(テレワークをした人の生活時間から、それ以外の生活時間を引いた差)の調べでは、テレワークにより浮いた通勤の時間を、女性の場合は35~44歳の子育て世帯は育児時間に、25~34歳、45~54歳、55~64歳の女性は、仕事時間に充てている事がわかりました。また、テレワークをした男性は、65歳未満の全ての年齢階級で仕事時間が減り、家事・育児時間が増えているという事もわかっています。
テレワークを取り入れる事は、女性にとっては働きやすい、生きやすい環境の整備となり、
また男性にとっては育児や家事を行う時間となり、結果的に育児・家事と仕事を両立させる女性の負担が軽減につながる事になることが期待されています。
課題に対する企業の在り方
民泊清掃会社である弊社でも働いているスタッフの8割が女性で、その大半は子育て世帯です。乳幼児を抱えながら仕事と育児家事を両立しています。
社内では在宅勤務の環境も整え、状況に合わせて適材適所での配置と働き方の提案をしており、各企業がどれだけ社会の課題と向き合い社内に活かして、働く世代を支えていけるかどうか。どれだけ令和モデルの概念を取り入れられるかどうかの在り方が、今問われています。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/gaiyou/pdf/r05_gaiyou.pdf