清掃・リネン地獄を回避する「年末年始の現場設計」
年末年始は清掃とリネンが詰まり、遅延がそのまま低評価につながりがちです。ポイントは“頑張る”ではなく、前倒しの段取りと予備在庫、そして現場が迷わないルール化で止めないこと。繁忙期ほど「例外対応」が増えるため、平常時のやり方をそのまま当てはめると破綻します。ここでは、現場が回り続けるための設計を具体的にまとめます。
目次
年末年始は「前倒し補充」が正義
消耗品(トイレットペーパー・ゴミ袋・洗剤・スポンジ)は 通常の1.5〜2倍 を事前投入。これは“安心のため”ではなく、緊急買い出し・欠品対応の工数をゼロにするためです。
連泊が増えるため、アメニティは「滞在日数×人数」で不足しやすく、補充不足はレビューに直撃します。
前倒し補充の考え方(おすすめ)
「使い切る運用」ではなく 欠品しない運用へ切替
物件ごとに“繁忙期セット”を作り、在庫の基準を固定する
置き場所も固定し、誰が入っても同じ場所から取り出せる状態にする(引き継ぎ事故を防ぐ)
冬に不足しやすい“盲点アイテム”
ゴミ袋(分別が多い物件ほど消費が早い)
キッチン周り:スポンジ・食器用洗剤・キッチンペーパー
水回り:トイレ洗剤・浴室洗剤・排水口ネット
乾燥対策:ティッシュ、予備タオル(手拭き需要が増える)
リネンは“循環”ではなく“在庫”で回す
乾燥が遅い季節なので、回転前提は危険です。年末年始は「洗濯が間に合う前提」を捨て、在庫で吸収する設計に切り替えます。
在庫設計のコツ
“最大稼働”の日を基準に、翌日分まで吸収できる量を想定する
乾燥遅延・集荷遅れ・スタッフ欠員など「どれか1つ起きても回る」設計にする
物件に置く在庫と、事務所(または倉庫)に置く在庫を分け、緊急時の逃げ道を残す
連泊が増える時期の注意
連泊中のタオル追加依頼が増え、想定より早く在庫が減る
“追加分はどこに置くか”を先に決めておくと、対応が早くなります
例:玄関クローゼット内の指定ボックス、リネン庫の上段など
チェックイン前の遅延を防ぐルール
清掃完了の最終締切(例:15:00)を社内で固定し、遅延しそうな場合の分岐ルールを決めておきます。年末年始は「ギリギリ完了」の積み重ねで、最後に大崩れします。
遅延を防ぐ“分岐設計”
遅延予兆が出た時点で(例:13:00の時点で未着手)運営側が手を打つ
代替オペ(荷物預かり、待機スポット案内、代替室提案)を“その場判断”にしない
ゲストへの連絡は、遅延が確定してからではなく、見込み段階で先に一報を入れる(不満を減らす)
清掃の優先順位を決めておく(重要!!)
遅れそうな時に「どこから仕上げるか」で評価が変わります。
年末年始は特に、以下の順で“最低限の完成”を先に作ると強いです。
水回り(浴室・トイレ・洗面):清潔感とクレームに直結
寝具(シーツ・枕カバー):衛生面の信頼
床の目立つ箇所(玄関〜リビング動線):第一印象
キッチン/細部の拭き上げ
作業時間を短縮する「繁忙期モード」の清掃設計
年末年始は完璧主義が事故の原因になります。品質を落とさずスピードを上げるには、作業の型を変えます。
“上から下・奥から手前”を徹底
浴室:壁→鏡→水栓→床→排水口
キッチン:上部棚→作業台→シンク→床
仕上げは「水滴ゼロ」を重視(冬は乾きにくく水垢が残りやすい)
仕上がりを一気に上げるポイント
鏡・水栓の水滴を取るだけで“清潔に見える”
トイレは便器内よりも、便座裏・便器外側・床が印象を左右
玄関の砂・髪の毛はクレームの火種。最後に5分だけ集中
情報共有を崩さない「写真・報告ルール」
繁忙期は引き継ぎミスが増えます。そこで効くのが、報告を“文章”ではなく形式化することです。
共有の基本形
清掃完了:水回り3点(浴室/トイレ/洗面)+寝具+玄関の写真
消耗品:不足があれば「何が/どこが/何個必要か」だけを固定フォーマットで
破損・汚れ:写真→状況→対応可否(落ちる/落ちない/要交換)を短く
年末年始に増える“トラブル前提”の備え
現場が詰まる原因は、清掃量だけでなく「例外対応」です。よくある例外を先に吸収します。
忘れ物対応が増える:保管場所と連絡フローを固定
暖房・給湯の問い合わせが増える:操作案内を一枚にまとめて送れるようにする
ゴミ回収停止・変更:室内保管場所、満杯時の対応を決めておく
追加タオル依頼:渡し方(玄関前/指定棚)をルール化
まとめ
年末年始の現場は「物量」と「前倒し」に加えて、迷わないルールと分岐設計が勝負です。消耗品は欠品ゼロの前提で厚めに投入し、リネンは回転ではなく在庫で吸収。さらに、遅延が出そうな時の優先順位・連絡タイミング・代替オペを“先に決めておく”だけで、遅延とクレームを大きく減らせます。繁忙期ほど、仕組みで回すほど強くなります。